お気に入りの壁紙がある暮らし -施工事例-

「気分があがる家にしたい!」大好きなmarimekkoを追いかけた先に辿り着いた理想の暮らし

北欧を代表するブランド『marimekko(マリメッコ)』。雑貨や洋服などを幅広く展開し、シンプルなグラフィックとカラフルな色使いで世界中から支持を集めています。 そんなマリメッコを取り入れた暮らしを楽しむ望月邸にお邪魔しました。

リビングに一歩入って気づくマリメッコの奥深さ

マリメッコといえば、原色に近い赤やピンクの鮮やかな色使い、大胆な手書き風の花柄などが特徴。そんなマリメッコ好きな奥さまのこだわりが詰まった家と聞いて、きっとカラフルでポップなおうち…と想像していたのですが、玄関からリビングに足を踏み入れると、想像を裏切るシックな雰囲気に小さな驚き。リビング横には和室も備わっています。

 落ち着いた色のフローリングに、ややグレーがかったクロスの壁と天井。洗練された北欧スタイルの家具と照明がとても品よく収まっています。大きな窓からレースごしにやわらかく光が差し込み、なんとも落ち着く空間に仕上がっていました。

ただ、もう一度よく見回すと、クッションや雑貨などにマリメッコのアイテムがほどよく配置され、インテリアのアクセントとして目を引きます。

なるほど、どうやらマリメッコ=ポップというイメージは勉強不足だったよう。この家を通して、マリメッコが世界中から長く愛される理由と、望月夫妻の快適で豊かな暮らしの秘密がわかってきました。

憧れだった北欧スタイルの家づくり

夫の悠平さんと妻の麻衣子さんは職場の同僚として出会い、約一年の交際を経て2019年に結婚。ほどなく妊娠がわかり、子育てするにはやはり落ち着いた住環境で、と新居を検討しはじめました。麻衣子さんは

「もし、ずっと独身だったとしても自分の家を建てたいと思ってました」(麻衣子さん)

と言うほど、家具やインテリアが大好き。もし建てるならぜひ北欧スタイルの家を、と希望したところ、幸運にも麻衣子さんの友人がすすめてくれたモデルハウスを一目で気に入り、新築での家づくりがトントン拍子で決定しました。

おふたりの理想を瞬時に察知したハウスメーカーの頼れるサポートもあり、家づくりは順調に進みます。

ソフトボールが趣味の悠平さんがこだわっているグローブやキャップが飾れるよう、玄関の収納は通常よりも広めにとられています。一方で

「「麻衣子さんはきっと家具や照明にもこだわるだろうから」って、キッチンまわりはあえて床面積を広げずにコストを抑えるプランを提案してくれました(笑)おかげで内装や家具には予算をかけられました。」(麻衣子さん)

照明やカーテンも、控えめなデザインながら、通好みの洗練されたものばかり。

「インテリアコーディネーターさんも、同じ北欧スタイルでも他にはないものを吟味してくれました。まさにこういうのが欲しかった!という提案ばかりで、本当に楽しい時間でした」(麻衣子さん)

時には設計士さんとコーディネーターさんが主張をぶつけあうこともあったそうですが、それもまた真剣だからこそ。自分たちの家のために真摯に向き合ってくれる姿が、悠平さんと麻衣子さんには嬉しかったそう。

唯一の心残りを「一番のお気に入り」に変えた偶然の出会い

2020年、新居は完成します。ほぼすべてが満足いくものだったなか、ただひとつ心残りだったのが、麻衣子さんが大好きなマリメッコの壁紙がハウスメーカーでは用意できず断念せざるを得なかったこと。

「リビングの広さを優先したことで、洗面所がちょっと狭くて。残念さが残る場所だからこそ、毎日の気分をあげてくれるような壁紙にしたかったんです。とはいえ、シンプルな壁のほうが広くみえるという意見も理解できたので、一度は諦めました」(麻衣子さん) 

そんなとき、友人から、自身が勤める会社が手がけた新しい託児施設ができたから撮影の親子モデルをしてほしい、と頼まれます。行ってみると、なんとそこには壁一面にマリメッコの『UNIKKO』を貼った空間が。すぐに友人に相談すると、既存の壁紙の上からでも貼ることができ、しかも十分に予算内とのこと。こうして、一度は諦めた洗面所の壁は、入居後に麻衣子さんが理想とした壁紙を貼ることができました。

デザインは『PUKETTI』を選択。紫陽花をモチーフにしたシンプルでいて遊び心のあるデザインが絶妙に軽快な気分にさせてくれます。家全体のコンセプトカラーにもしていたブルーグレーが、家全体とも調和して圧迫感を感じさせず落ち着きを与えてくれます。

当初は色柄のある壁紙には難色を示していた悠平さんも、これなら!と気に入ってくれました。

Before

After

洗面所は1日に何度も足を運ぶ場所。特に子育て中は、たくさんの洗濯に追われたり入浴もままならないなど、あっという間に生活感にあふれてしまいます。それが壁紙によって

「いちばん気分が上がる場所になりました!」(麻衣子さん) 

あえて鏡に写る壁面を使うのもいいアイディア。鏡に写すことで「1度に2倍」楽しめるだけでなく、毎日鏡を見るたびに自分の顔とお気に入りのデザインを同時に眺めることができて、心理的にもポジティブな効果をもたらしてくれそうです。

 

「本当にいいものを少しだけ」。旅の先にたどり着いた理想の暮らし

 麻衣子さんが北欧にハマったのは、まだ結婚前、友人たちとのフィンランド旅行がきっかけでした。もともと北欧スタイルの雑貨やインテリアには興味があり、いつか北欧に行きたいという想いはあったようですが、念願叶った旅で、マリメッコやイッタラの工場を巡ったり、北欧の街を満喫したりしているうちにどんどんその魅力に惹かれていったと言います。

なかでも、カラフルな色使いと大胆なグラフィックが特徴のマリメッコには

「もうどハマりしました!」(麻衣子さん)

日本に帰ってからも服や食器をコツコツ買い集め、一時期は

「こんなにどうするの!?っていうくらいたくさん持ってたんです」(麻衣子さん)

その後も、マリメッコに関するイベントや展覧会に積極的に出かけては、ひとりで何時間も見学するなど見識を深めていった麻衣子さん。なかでも感銘を受けたのが、茶室の床の間にマリメッコのファブリックを襖や壁紙として設えたインスタレーションでした。ともすると真逆にも思える「静的な和の空間」と「動的でダイナミックな北欧デザイン」が、不思議なほど調和しているのを見て、マリメッコに対する印象も変わっていきました。

さらに、生活のなかで様々な北欧デザインを使っていくうちに、実は暮らしに必要なものは、「いいものが少しあればいい」ということにも気づいていきます。

「毎日の食事には大皿23枚あれば十分だと気づいて、買い集めたものの一部は結婚を機に処分しました。いいデザインのものは、派手に見えてもちゃんと料理が映えるし飽きがこないんです。少し値が張ることもありますが、その分大切に使うようになりました。」(麻衣子さん)

マリメッコに代表される北欧デザインは、花や果実、森といった自然をモチーフとしていることが多く、手書きのラインや深みのある色使いには、どこか日本的なぬくもりを感じさせます。そのため、それこそ茶室のような空間や素朴な家庭料理にも、意外なほどしっくり馴染むのです。その懐の深さは、「生活をデザインの力で豊かにしたい」というマリメッコブランドの想いにも通じるもの。 

知識や経験を積み重ねることでセンスは磨かれるといいますが、麻衣子さんは、ひとつのスタイルを愛し自分の足で経験を重ねたことで、センスを磨き理想の暮らしにたどり着いたのかもしれません。

現在、新居への引っ越しから一年が経ち、やっと少し落ち着いてきたところ。長女の美朱ちゃんのための子供部屋などはまだまだ手が回っていませんが、おふたりは、美朱ちゃんがもう少し大きくなったら一緒に子供部屋の壁紙を選びたいと思っているそう。洗練された北欧インテリアに囲まれた育った美朱ちゃんがどんなものを好きになるのか、今から楽しみです。

文:五十嵐友美

写真:平山亮 @ryo_hirayama_photographer

   斯波貴史 SHIBA MOVIE & DESIGN