英国風のインテリアだとクリスマス気分もあがる

一年のなかで、もっとも楽しみな時間

12月に入ると、町はすっかりクリスマスムードに変わります。18歳のときに渡英し、23年間イギリスで過ごしたKobuchizawa.Colourの植木一仁さん。塗料や壁紙をはじめ、インテリアやライフスタイルに造詣が深い植木さんにイギリスのクリスマスタイムを「一年のなかで、もっとも楽しみな時間でした」と振り返ります

「やっぱり一番大好きなイベントでした。クリスマスフェアにクリスマスマーケット、町は完全にクリスマス一色!外を歩けば町は華やぎ、家で過ごす時間はとびきりあたたかい…。大人も子どもも色んな楽しみに胸がワクワクする、そんな時間ですね。こうした“クリスマススピリット”はイギリスだけでなく、ヨーロッパ全体に根付いているものだと思います」

クリスマスツリーを飾った部屋、窓からは小淵沢の自然が見える。

クリスマスツリーは本物の“もみの木”。時期になるともみの木を販売するポップアップショップが通りにいくつも並び、みんなそこで購入するのだそう。購入したツリーを担いで家に帰り、それぞれ飾り付けをします。 「オーナメント一つひとつにも思い出やストーリーがある。イギリスの人々にとって、インテリアは思い出が重なって完成していくものでした」

リビングには薪ストーブ、みんながくつろげる空間

家族で囲むクリスマスフィースト

クリスマス・イブの夜には、暖炉の上に人参とウイスキーをセット。子どもたちが寝静まったあと人参をかじり、ウイスキーは空にしておくのも大人の仕事。クリスマスの朝、目覚めた子どもたちは「サンタとルドルフがきた!」と大はしゃぎなのだとか。

クリスマスの朝、子どもたちは起きてすぐにクリスマスストッキングに手を伸ばします。そしていよいよ、プレゼントを開封! 一つひとつ感動し、喜んで、遊びながらすべてを開封していくので、すべて開け終わるまでに2日間ほどかかる子もいたそう。子どもたちがプレゼントに夢中になっている間、男たちはパブへ出かけ、女たちは食事の準備を進めます。

グースやターキーがイギリスでは定番

「クリスマスといえば、やっぱり食べ物ですね。クリスマスフィースト。イギリスのトラディショナルでいえばグースですが、僕はターキーを好んでいました。ターキーは丸ごとローストし、中にはレーズンなどクリスマスを感じさせる素材を混ぜたスタッフィンをぎっしり。それにグレイビーソースをかけてとクランベリーソースをつけて食べます。あとはサーモンのローストやミンツパイも定番です。

サーモンも豪快に盛り付けてシェアが基本
クラッカー、パイなどのフィンガーフードも気分を盛り上げてくれる

それと、どの家庭にも必ずあるのが『クリスマスクラッカー』。キャンディーのような形をした横に長い筒状のクラッカーなのですが、これをテーブルに座って腕をクロスさせるような形でクラッカーの端を隣の席の人と交互にもつ。そして一斉に引っ張る。中からはクリスマスプレゼントとハット、おかしなジョークが出てくるんです。そのあと、帽子をかぶってみなで食事をします。午後3時頃から夜が深くなるまで、大切な人たちと笑い、語らいながら過ごす最高に幸せな時間です」

スパークリングで乾杯!みんなで集まれる快適な空間がクリスマスには重要

幸せな時を過ごす場所としての「家」

クリスマスの翌日は、まずは食べきれなかった料理を冷蔵庫へ。そしてお昼にはそれらをすべて混ぜてソテーし、グレイビーソースをかけたものを具にしてサンドイッチをつくります。 「これが『クリスマスサンドイッチ』!とても美味しいんです。クリスマスの料理は大量なので、このサンドイッチは数日続きます。『もう十分…』となるころに、今度はニューイヤー。この季節はどの人もみんなずっと家で過ごしています。だから、クリスマスは本当に家族の時間。贅沢な時間ですよ。そしてもう一つ、クリスマスに人を招くために内装を綺麗にする人も多い。クリスマスデコレーションはインテリアに大いに関連します」

薪ストーブとレンガ、間接照明。クリスマスの雰囲気は最高潮。

興味深いのは、植木さんが8年間働いていた塗料専門店「FARROW&BALL」が年始早々に店が開いているというエピソード。

「クリスマスホリデーで2週間ほどずっと家にいるでしょう?すると、男たちが飽きちゃうんです。だから、『ちょっと塗料買ってくる』というように『FARROW&BALL』出かけて、壁を塗り直す。つまり、時間が余った時にDIYをする人が多いんです。他の店はみんな閉まっているのに、『FARROW&BALL』は店を開けていました」

居心地よく、自分らしい住まいづくりに価値を置くイギリスの人々。四季の事物や年中行事がいくつもある日本の暮らしにおいて、家の中での時間を楽しむことにもっと気持ちが向くことで、家やそこから生まれるライフスタイルがより魅力的なものになるのかもしれない。家は、家族が成長していく上で一番重要なものをあたたかく包みながら守っていく場所。人はみな、それぞれの家で色んなことを感じ、経験して育っていくのでしょう。

英国の内装話に華が咲く一同。クリスマスの夜は楽しい時間。

(文:小栗詩織、写真:平山亮 @ryo_hirayama

 ※Yellow Houseにお伺いした際に、一足早いクリスマスパーティーを皆で楽しませて頂きました! 

 

Kobuchizawa.Colour

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special thanks

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@anth0nyskitchen

取材日に特別にお料理をつくって頂きました!

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